高校生の青春がぎゅっと詰まった「コクリコ坂から」。
宮崎吾朗監督作品の第二弾ということで、とても注目されていました。
今回は「コクリコ坂から」の制作にまつわる裏話をご紹介!
作品の時代背景や登場人物のモデルまで、様々なエピソードを見ていきましょう。
「コクリコ坂から」はこうして生まれた!制作裏話
「コクリコ坂から」はどのようにして作られたのでしょうか?
作品誕生の裏話のキーワードは「夏の合宿」です。
宮崎駿監督は毎夏、山に籠もって合宿をするのです。
それは1990年の合宿のこと。
参加者は押井守さん、庵野秀明さんなど、超豪華メンバー!
当時の議題は「少女漫画は映画化できるか」でした。
そこで取り上げられたのが「コクリコ坂から」だったのです。
ところが「コクリコ坂から」はすぐに映画化とはなりませんでした。
その理由は「コクリコ坂から」のテーマの1つ、学園紛争のせいだったという裏話が。
現実世界でも学園紛争は起こっていたそうで、それが1970年代の話。
1990年代に映画化した場合、それは「時代遅れ」を感じさせてしまうかもしれない、という判断に。
それから時を経て・・・
学園紛争が時代遅れではなく「ノスタルジー」として感じられるようになったと判断した2000年代。
ようやく「コクリコ坂から」の制作が決定したのです。
制作決定にはそんな裏話があったのですね。
とことん検討し、時代に合ったものを世に出すというスタジオジブリのこだわりを感じます。
なぜ?「コクリコ坂から」で合唱シーンが多い理由
「コクリコ坂から」では劇中で流れる音楽もとても印象的ですよね♪
心地よいスウィングジャズ、一緒に口ずさんでしまう「上を向いて歩こう」、
刑事ドラマのようなドキドキワクワクを感じさせる「明日に向かって走れ」など。
「コクリコ坂から」の魅力をより一層引き立ててくれます。
ところで気になるのは合唱しているシーンが多いこと。
学校に合唱はつきものですが、特に音楽の時間でもないのに歌い出すシーンが多いのです。
そんな「コクリコ坂から」の歌にまつわる裏話をご紹介!
歌うシーンが多いのには時代背景が理由として挙げられるでしょう。
「コクリコ坂から」の舞台になっている1960年代は歌声喫茶というものが流行ったそう。
何かと人が集まれば自然と歌が始まっていたのです。
特に印象的なシーンは2つ。
1つは、高校の文化部棟、通称カルチェラタンの建て替えに関する学生集会の時。
賛成派と反対派で暴力沙汰の騒動が起きましたが、先生が来るぞという合図を受けて一変。
生徒会長が舞台の真ん中に立って歌い始めると、全員で肩を組んで合唱しているではありませんか。
実は、これは先生たちに対するアピール。
「討論会は生徒だけで上手くやっています」という姿を見せるための合唱だったのです。
最後にはバシッとソロで歌い切る生徒会長の姿に先生たちもニヤッとしいて去っていきます。
もう1つは下宿コクリコ荘で行われた送別会。
下宿人の1人が引っ越すということで開かれた会で、庭にテーブルを出してパーティーが開かれました。
そこでは大人たちも腕を組んで合唱をして送り出していたのです。
学生に合唱はつきものですが、大人も大きな口を開けて歌うというのは少し不思議な感覚ですよね。
大人たちも歌うことが大好きだった時代。
懐かしいと微笑みながら鑑賞する方もいらっしゃるでしょう。
一方で、当時を知らない若い世代の方にとっては裏話や都市伝説のように感じてしまうかもしれませんね。
魅力的な登場人物に隠された裏話をご紹介
最後にご紹介するのは「コクリコ坂から」に登場する魅力的なキャラクターたちに関する裏話。
主人公の松崎海にはモデルがいたことをご存知でしょうか?
そのモデルは女優、吉永小百合さんなのです。
「コクリコ坂から」の監督を務めた宮崎吾朗さん。
自身も1960年代は体験していないことから、当時の雰囲気を感じ取ろうと手に取ったのは吉永小百合さんの映画。
彼女が主演した1960年代の青春映画を何本も見てイメージを膨らませたのです。
確かに、海は真面目な学生という感じで垢抜けているわけではありませんが、清楚な美人。
笑顔が上品で可愛らしくて、吉永小百合さんを彷彿とさせますね。
ところが、海は「最初はもっと暗い少女の設定だった」という裏話をご存知でしょうか。
実は原作の漫画ではいきなり父親が死んでしまうシーンから始まり、海はもっと暗く大人しい性格だったのです。
そこから映画制作が進むにつれて鈴木プロデューサーからのアドバイスもあって、海はいきいきとした少女となりました。
そんな裏話があったとは驚きですよね。
そしてもう1人、実在の人物がモデルとなっている人が。
それは、カルチェラタンの建て替えの鍵を握る徳丸理事長。
ガハハと大きな口を開けて笑う姿が印象的!
でも、きちんと学生にの話も聞いて寄り添ってくれる人物です。
その理事長のモデルとなったのは徳間書店の創業者、徳間康快(とくまやすよし)さんと言います。
これもまた裏話ですが、徳間さんはスタジオジブリ設立の際には初代社長、そしてその後には3代目社長も務めたお方。
徳間社長がいなければ今のスタジオジブリはないというほど、影響力を持った人物なのです。
ちなみに、徳間社長は徳間理事長と同様に豪快な性格。
それを物語る裏話を1つご紹介します。
例えば「もののけ姫」を作る際に16億円が必要だと徳間社長に掛け合ったところ「20億にしろ!」と返されたそう。
その理由は「キリが悪いから」。
なんて豪快!!
登場人物にまつわる裏話を知ると、その人物をもっと知りたくなりますね!
まとめ
以上、「コクリコ坂から」についての様々な裏話をご紹介しました。
徳丸理事長の声優を務めた香川照之さんは、徳間社長の映像を見て話し方・声の出し方を研究したという裏話も。
今まで知らなかった裏話を知ってから「コクリコ坂から」をもう一回見てみましょう。
より一層楽しめること間違いなしです!