「もののけ姫」の主人公と言えばアシタカ。
とても格好良いキャラクターで、タタラ場の女性たちもキャーキャー騒いでいましたね!
彼は物語終盤で、もののけ姫であるサンと良い関係になるのは周知の通り。
しかし、村にいたカヤという少女とも何か関係がありそうでした。
これはまさかの二股?
登場シーンが少ないカヤですが、アシタカとはどんな関係にあるのかここで深掘りしたいと思います!
アシタカとカヤ、2人の切なすぎる関係
「もののけ姫」でカヤが登場したのは物語冒頭でしたね。
が、突如現れたタタリ神に追いかけられるカヤたち。
必死で走って逃げていたものの、うち1人が転倒してしまいます。
得体が知れず見た目も恐ろしく、もの凄いスピードで迫り来るタタリ神!
しかしカヤは立ち向かい、刀を抜きました。
それを見たアシタカは矢を放ってタタリ神の注意を逸らし、彼女たちは無事に逃げ切ることができたのです。
腕に呪いを受けてしまったアシタカ。
誰よりも早くそんな彼に駆け寄り、手当てを試みたのはカヤでした。
カヤはアシタカのことを「兄様(あにさま)」と呼んでいます。
ですが、2人の関係は実の兄妹というわけではありません。
「もののけ姫」の時代では年上の人をこう呼ぶ習慣なのです。
同様に、年上の女性は姉様(あねさま)になります。
アシタカは将来的に一族の長となるべく育てられた青年でした。
「もののけ姫」に出てくる他の人物と比べても、なんだか立ち居振る舞いや発言に気品が感じられますね。
その一族を率いる者として、部族の繁栄のために許嫁も存在します。
実は、その許嫁こそがカヤでした。
2人の関係は、結婚を約束した仲だったのです。
この関係を考えると、アシタカが神様に矢を放つという掟破りの行動をしたことも納得です。
タタリ神とはいえ神様を殺めてしまったアシタカは掟に従って、村を出ることになりました。
その見送りもまた禁じられており、彼は夜中に1人で旅立ちの準備をしていました。
そこへ駆け寄ってきたのは、カヤ。
彼女は罰を受ける覚悟で見送りに来たのです。
カヤは「玉(ぎょく)の小刀」という、首にかけられる綺麗な刀を差し出しました。
「お守りするよう、息を吹き込めました。いつも兄様を思っています」と、目に涙を浮かべながら想いを打ち明けます。
カヤは本当にアシタカのことを好きで、愛していたのでしょう。
そしてもう一緒に居ることができない以上、彼が無事であることだけを祈って…
カヤからもらった大事な小刀を「もののけ姫」に…
その小刀は黒曜石という、大変貴重な石でできた刀でした。
実はこの刀には女性の「特別な想い」が込められています。
これは結婚を決めた女性が、自分の心はずっと変わらないという誓いの証として男性に送るものなのです。
つまり、許嫁という関係は終わってしまうものの、一生アシタカだけを想い続けると決意したのです。
なんて健気…!
「私もだ。いつもカヤを想おう」
アシタカはこう返事をしてカッコよく去っていきました。
ところが。
「もののけ姫」であるサンの登場によって、アシタカの気持ちは大きく揺れ動きます。
ついにはカヤからもらった大事な玉の小刀を、サンにあげてしまいました。
「えー!カヤと関係ないサンにそれあげちゃうの!?」
というのが、最初に「もののけ姫」を観た時の筆者の感想です…
「もののけ姫」全体を通して唯一、アシタカにがっかりしてしまったシーンでした。
いや、きっとアシタカのことですから何か考えがあったはず。
そう思って何度も「もののけ姫」を見返しながら調べてみると…いくつかの考察が浮かんできました。
まず、アシタカは村にもう二度と帰らないと覚悟を決めたというもの。
村を出ていかなければならなくなったのは、腕に呪いを受けたからでしたね。
呪いが解けさえすればきっと戻れるのかもしれません。
しかし、今後はタタラ場とシシ神の森で生きていく決意として、サンに小刀を渡したのではないでしょうか。
また、大切な刀だからこそ、あえてサンに預けたという声もありました。
カヤが想いを込めてくれたその小刀のおかげで、アシタカはそこまで生き延びることができたのかもしれません。
異性に贈る特別な小刀をサンに贈ることで、サンにも人間の愛を感じて欲しかったのではないでしょうか。
2人の女性とアシタカの関係…思った以上に複雑ですね。
実は「もののけ姫」の作中でなぜ大事な小刀をサンにあげたのか、本当のところ明らかになっていません。
みなさんはどのように考えますか?
「もののけ姫」で描かれなかったカヤの秘密!?
「もののけ姫」の中でアシタカと許嫁という関係で終わってしまったカヤ。
それにしても、なぜそこまで一途に男性を想えるのでしょうか。
関係も絶ち、戻ってくる見込みのない人を…
その理由として考えられるのは、カヤのお腹の中には新しい命が宿っていたということ。
「もののけ姫」ではカヤの年齢は明らかにされていませんが、おそらく13〜14歳くらいが妥当。
この時代では、10代で子供を授かることも決して不思議ではありません。
もしアシタカとカヤが既に肉体的な関係を持っていて、命を宿していたとしたら…
彼女があれだけ一生懸命にアシタカを想う気持ちも理解できますよね。
さらにその子供が男の子だとしたら、きっとアシタカのように村の長にあたる人物となるのでしょう。
アシタカとの直接的な関係はなくなっても大事な命をしっかり守っていきたい。
彼女のそんな決意も込めた見送りだったのかもしれませんね。
まとめ
今回は「もののけ姫」の冒頭に登場するカヤと、アシタカの関係についてご紹介しました。
2人の切ない関係を知ってから「もののけ姫」を観ると、また違う楽しみ方ができそうですね。
ちなみに、カヤとサンの声優はどちらも石田ゆり子さんが担当しています。
アシタカが関係を持つ2人の女性を同じ声にするとは…ここにも宮崎監督の思惑がありそうですね!
「もののけ姫」の中でカヤはアシタカ以外の男性と今後関係を持たないと誓っています。
おそらくヒイ様のような巫女となって、アシタカを想いながら村を守っていくのかもしれません。